生きる
僕は、小学校3年生、9歳の時に白血病になりました。4年生の6月、姉の骨髄を移植しました。 入院中、治療がつらく、のどを痛めて、血をはいたこともありました。けれど入院中の僕は、とても元気が良く、毎日院内をかけまわっていました。治療のつらい思い出より、楽しく遊んだ思い出のほうが多かったと思います。他の人は「強がり」とか「ウソつき」と思うかもしれないけど、「自分が死んでしまう」とか「もうだめかもしれない」と思ったことはただの一度もありません。 僕の体験で思うことは、こういう体験をしたことのない人が、今病気でがんばっている人に、同情するのだけはやめてほしいと思います。「かわいそう〜」とか言われたりするけど、正直、聞いているだけで腹が立つ。同じようは体験をしていない人が、わかったような気持ちになって、でてくる言葉をきいていると「あなたに何がわかる？」という気持ちになってきます。 そして時々、「いったいどうして、こんないい子が……」という言葉を耳にしますが、その言葉は、逆に問えば「じゃあ悪い子は、病気になってもいいのですか？」となってしまう。病気になってしまうのも、いい子も悪い子も、けっして関係ありません。だから同情したりするのは、やめて下さい。 僕が入院生活で一番つらかったのは、ともだちの死です。仲のいいともだちが3人亡くなりました。その3人の死を通して、どうして人は死んでしまうのだろうと考えました。考えて、考えたあげく、答えがみつかりました。それは「生きているからです」人は生きているからこそ死んでしまうのです。だからこそ、今、生きているこの一日一日を、しっかりかみしめて、生きていかなければいけないのです。強く前向きに生きるのか、弱く後ろ向きに生きるのか、それはその人の自由です。他人の生き方を否定する権利なんて、だれももっていません。 僕はこれからを、強く生きることにしました。どんなことがあっても、絶対負けたくないと思います。そして一日生きていたことに感謝することを、忘れない様に、生きていきたいと思います。 僕は今、元気に中学へかよっています。部活も、ソフトテニスをしています。テニスは上手ではありませんが、負けたくないので、朝練などをして、がんばっています。釣りに行ったり、友だちと遊んだり、とても楽しい中学生活をおくっています。そして、あいた時間で骨髄バンクの登録会や募金活動などに参加しています。今、30万人の人が、登録すれば、9割の人にドナーが見つかると、言われていますが、残りの1割は、どうなるの？と考えます。すべての人に移植がでできる様に50万人は登録してほしいと思います。 みなさん一緒にがんばっていきましょう。 |